このページは、随時更新してまいります<最終更新日:2023年9月27日>

1.物流業界の2024年問題とは?

2019年度から順次導入がされた働き方改革ですが、業界や企業規模によって猶予期間が設けられています。運送・物流業界においては2024年4月1日より、ドライバーの年間における時間外労働時間が960時間に制限されますが、これによって運送・物流業界に生じる様々な諸問題を称したものが2024年問題です。

これまで、運送・物流業界のドライバーは、若い年代層が少なく高齢化による労働力不足という大きな問題を抱えてきました。一方で、近年はEC市場が大きな成長を遂げてきたことから宅配便荷物の増加などによって、長時間労働が常態化しているのが現状です。そこで2024年4月より、ドライバー業務の年間労働時間に制限を設けることで、ドライバーの労働環境改善をはかることが今回の法改正の目的になります。

2.働き方改革関連法2024年4月1日からはどうなるの?

一般業種の大企業では2019年4月、中小企業2020年4月から、働き方改革関連法が適用になりましたが、建設事業や自動車運転業務については、2024年4月1日までの猶予期間が設けられました。2024年4月1日以降の猶予期間終了後は、一般業種の年間720時間以内、月100時間未満、2~6ヶ月平均で80時間以内(休日業務を含む)が運送・物流業界には適用されず、年間の時間外労働の上限が従来の1,176時間から960時間に引き下げらるのと同時に、これまでの時間外労働による割増賃金が一律25%から、60時間を超過した分は50%に引き上げられます。(ただし、将来的には一般の企業と同水準を目指す予定)。

3.どのような問題の発生が想定されるのか

(1)ドライバーの賃金が減少して離職率が増加する可能性も考えられる

2024年4月1日以降は、ドライバーの時間外労働の上限が従来より960時間と引き下げられるため、業務の形態によっては従来よりも稼働時間や走行距離が減ることが考えられます。とくに走行距離によって運行手当等が支払われているケースでは、ドライバーの賃金減少もも有り得るので、業務の形態によってはドライバーの離職率増加も考えられるといえるでしょう。

(2)労働力不足に拍車がかかる可能性も考えられる

慢性的なドライバー不足が続いている運送・物流業界ですが、今回の猶予期間終了後はドライバー1名あたりの総就業時間が減少するため、労働力不足に拍車がかかることも危惧されます。特に2023年4月1日より時間外労働60時間を超過した際には割増賃金が50%となるため、事業者にとっても賃金コストが上がることから収益を圧迫することになり、結果的に基本給などの賃金への悪影響も懸念されることから、ドライバーに就業を希望する人が減少することも考えられるでしょう。

(3)荷主への影響は運賃値上げ以外にも考えられる

今回の猶予期間終了後にはドライバーの賃金コスト上昇や労務管理コストの増大により、運送・物流業者の利益減少が発生することから、運賃の値上げが予想されます。またドライバー不足によって配車できない状況が発生することも考えられ、取引規模の縮小や撤退のリスクも発生する可能性も考えられることです。その他にも経営不振やドライバー不足による運送・物流会社の廃業・倒産により、物流に支障きたす恐れもあります。

3.2024年問題への対応策

(1)荷待ち時間の短縮

ドライバーの長時間労働の問題において、長時間にわたる荷待ちは大きな問題となっています。荷待ち時間の短縮は運送事業者側の努力だけでは不可能ですので、荷主企業の協力と理解が不可欠です。荷主企業が「トラック予約受付システム」を導入・活用をしてもらえれば良いのですが、導入コストやランニングコストもかかる事から大手や中堅の荷主企業を除くと、なかなか普及していないことが現状となっています。荷主企業側にも、出庫管理の人的コストや時間コストを削減できるメリットを理解してもらえるよう、個々の運送・物流事業者の努力だけでなく、国や業界団体をあげて奨励していくことも必要かと思われます。

<参考>全日本トラック協会「トラック予約受付システムのご案内」   CLICK

(2)高速道路の活用

ドライバーの労働時間短縮を図るには、移動時間を減らすことが有効な対策のひとつです。高速道路を利用できない運賃体系のケースも考えられますが、一般道を走行することによるドライバーへの時間外賃金などのコストアップを荷主企業にも理解を得ることが必要といえます。2024年4月以降は60時間を超過した分は50%の割増賃金が必要となることからも、高速道路の通行料金とコストを比較した際には、現在よりもその差が縮まる可能性も考えられるようです。

(3)こまめな勤務時間の把握

ドライバーの勤務時間については、今まで以上にシビアに把握していく必要があります。運転日報や勤務時間、休憩時間、休日などの把握について月単位ではなく、1週間単位で把握して勤務体系を考えていく必要かもしれません。また、それに見合った準備を2024年4月1日までに整えておくことが必要です。

(4)労働環境・労働時間の見直し

ドライバーを定着させるためにも、給与面だけではなく福利厚生なども含めたトータルでの見直しが必要かと思われます。また労働時間についても待機時間や荷役時間の削減をはかることで、ドライバーの時間あたりの賃金を実質的にアップさせる効果が期待できるでしょう。求人においても、福利厚生や職場環境での取り組みなどの情報発信を積極的に行うことで、自社の労働環境を求職者に理解してもらうことが必要かと思われます。

(5)大型トラックの高速道路速度制限の緩和

現状では高速道路上において、大型トラック/トレーラーの最高速度は80km/hに制限され、スピードリミッターによって90km/h以上出ない仕組みになっています。2024年問題対策として今年7月に警察庁の有識者会議にて、輸送効率を上げる目的で、高速道路上の速度制限緩和を行うことを検討に入っているそうです。事故の発生増加も懸念されますが、自動ブレーキなど安全装備の普及を踏まえて、今後詳細を決めていくことになります。